あけましておめでとうございます。

10X社の新年の企画で「複利の経営」という記事をnoteで公開しました。頑張って書いたので、ぜひ読んでもらえると嬉しいです。

そしてこの記事はその裏番組です。表で書くには冗長だった内容を書いていきます。

表を読んでからぜひ読んでください。

生産性に本当に効くもの

note記事の中では以下の「労働生産性」の実績推移を開示しました。会社のイベントと突き合わせて見ると、2024年からの生産性の増加は顕著です。

記事にも書いたとおりなのですが、この4年を振り返ると生産性に効いたもの、効いていないものがはっきりとしています。

生産性に効くもの

  • 「運用でカバー」の排除 (真の品質追求。10Xでは運用自律性と呼ぶ)
  • ソフトウェアにおける個別性の排除 (プラットフォーム化)

いずれもソフトウェアへのリファクタリング投資によって得られたものが多かったです。

生産性に効かなかったもの

  • コーポレート機能の充実
  • ビジネス組織の拡張
  • AI/LLMの積極的な活用

特にAIの活用についてはnoteで触れていません。世間の風潮と逆のスタンスを取っており、その点について少し掘り下げて書いてみます。

AI/LLMへの疑念

「AIを活用し生産性が上がった」という論調を私は大変懐疑的に見ています。根拠は自社の事例です。

自社も例に漏れず、ソフトウェア開発やコード解説を中心にAIを積極的に活用しています。例えば以下のような使い方は成果が確認されており、社内でも積極的に推奨されています。

  • ユニットテストのカバレッジ向上のために、テストを書かせる
  • Devinにソースコードから実装内容を解説させる (ビジネスサイドも多用)
  • バイブコーディングで社内ツール作成 (私やデザイナーがメインプレイヤー)

ただこうした使い方は「業務時間の一部を代替したり、圧縮する」「自分にない能力の補填」のレベルに留まっています。改善されているのは生産性ではなく、効率です

生産性が改善するとは、新しい粗利が創出されるか、既存のビジネスの業務を大幅に奪い取り、その業務を担う労働が消えることを指します。これには至っていません。生産性への寄与はほぼ0といえます。

基本的に近しい状況が、大半の企業の内情なのではないか、というのが私の懐疑の背景となっています。

こうしたスタンスから、グローバルなAI投資に対しても「Sell」のスタンスとしています (国内はわからん)。S&P500のポジションを解消した話は以前このブログに書きました。

ただし、このスタンスを覆すほどのAIの進化、社会実装を楽しみにしている自分もいます。その時は全力で朝令暮改をするつもりです。

将来の生産性をつくる

10Xの生産性は短期的にはもっと高められる自信があります。

複利構造への投資が実を結び始めたことと、この構造を通過する取引 (売上) が当面強い成長速度を保てる見込みがある、というのが根拠になります。

一方で、事業は必ず成熟し、取引の成長率は必ず穏やかになります。特にStailer ネットスーパーというプロダクトは、市場の流通額において大きなシェアを持ち始めているため、その後は徐々に市場成長率へと収斂していくはずです。

2026 年頭所感

現在の事業が成熟していくのが3年後なのか5年後なのかは正確にわかりませんが、そのタイミングでも生産性がサチらないようにするには、また新しい構造なり、事業をCreateする必要があります。

その数年後に向けた仕込みを行っていくのが私のミッションだと思っており、今年も小売業というドメインの第一人者を名乗れるほどのドメイン解像度を高めること、その解像度をプロダクトへ反映していくことをやっていきたいと思います。

2024, 2025年はかなり小売業の業務に対して詳しくなりました。ただまだまだ解像度が足りず、プロダクトとして期待するものをつくりきれていません。

先のnoteに、「ソフトウェア品質とは、複利の別の姿」と書きました。そして「ソフトウェア品質はドメイン解像度の賜物」です。

起点となる解像度を、周囲が驚くほどの強度で掘っていきたいなと思います。