私は170cmと身長が大きくないのですが、若い頃にスポーツの能力を突き詰めていくうえでは「もう少し大きければ」と思うことはたくさんありました。加えてもう少し伸ばせただろうな、とも。

身長の最終到達点は、80%が遺伝で決まるらしいですが、残り20%は工夫の余地があると言えます。子供にはできる限り身長で悩んでほしくないな、と思い1万5000人のデータに基づいた すごい身長の伸ばし方という本を買って、この内容に沿って小3と小6の息子の成長を妻と一緒にサポートしています。

前提: 成長曲線

成長曲線は、同じ年齢の子どもの身長や体重がどのあたりに分布するかを、平均線とその上下のSD(標準偏差)の帯で示したものです。一般に±2SDの間に入っていれば標準的な成長とされ、−2SDを下回ると低身長として専門医への相談が勧められます。日本では2000年の厚生労働省・文部科学省の調査データが基準として使われています。

運用で大事なのは、ある時点の高さそのものよりも、自分の曲線に沿って伸び続けているかというトレンドのほうだと理解しています。定期的に身長をプロットして、これまでなぞってきた線から急に落ちたり外れたりしていないかを見る。点ではなく線で追うのが成長曲線の使い方です。

我が家の現在地でいうと、長男は−0.5SDあたり、次男は+1.0SDちょうどくらいに位置しています。二人とも大きく標準からズレているわけではありませんが、せっかくならポテンシャルを出し切ってほしいと思っています。

子どもの体作りは、大人とそう変わらない

調べていくうちにわかったのは、子どもの身長を伸ばすためにやることは、大人の体作りと大きくは変わらないということでした。

突き詰めると、正しい栄養の食事、十分な長さと品質の睡眠、そして骨に縦方向の刺激を与える運動。この3本柱に行き着きます。

以降、我が家でそれぞれ何をしているかを、エビデンスを補足しながら書いていきます。

食事:タンパク質・ビタミンD・亜鉛

骨を伸ばすにはカルシウムだけでは足りず、タンパク質・ビタミンD・亜鉛といった栄養素が必要だとされています。タンパク質は体をつくる材料、ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を助ける役割、亜鉛は成長ホルモンの分泌や細胞の増殖に関わるミネラルです。亜鉛が不足すると成長ホルモンの分泌低下につながる可能性も指摘されています。

そこで我が家では、この3つに目配せして食事を用意しています。

タンパク質は、私が自分用に作っている自家製の鶏ハムや、卵、牛乳が主役です。どうしても足りないときは、オイコスなどのヨーグルトやプロテインで補います (週1回くらい)。ビタミンDはこれらと一緒に自然とカバーする形です。タンパク質は1日60g~80g程度を目安にしています。

亜鉛は意識しないと不足しがちなので、わかめを毎日なにかしらの料理に取り入れたり、納豆やナッツを時折はさんだりして補助しています。

睡眠:21:30就寝・最低9時間

睡眠は、おそらく一番ガチっている領域です。

我が家では、必ず21:30までに就寝させ、短くとも9時間程度の睡眠時間を確保しています。iPadやテレビで動画を見ていると脳が覚醒して寝つきが悪くなるので、デジタルは20:00頃までに切り上げさせる。そして入浴と就寝の間をできるだけ短くする。これを基本ルールにしています(もちろん、できない日もあります)。

それでも子どもたちには、朝早く起きてプロスピをやりたい、動画を見たいという欲求があります。その気持ちはよくわかる。なので頭ごなしに禁止するのではなく、睡眠がなぜ大事なのかを一緒に勉強して共有するようにしています。

これには理由があって、夜間の睡眠時間が長い子どもほど身長が高い傾向にある、という研究があります。

日本の大規模調査(JECS)では、1歳半時点の夜間睡眠時間と3歳時点の身長に正の関連が見られたと報告されています。興味深いのは、昼寝を含めた24時間の総睡眠ではなく、夜間の連続した睡眠だけが関連していた点です。成長ホルモンの大きな分泌が、まとまった夜の睡眠中に起こることとも符合します。

運動:縦方向の刺激

運動については、土日にクタクタになるまで野球をしているので、量としては十分かなと思っています。

そのうえでの工夫として、野球の練習メニューの中にジャンプ系の動きをいくつか組み込み、チーム全体で取り組んでいます。さらに我が家では、5年前からトランポリンの習い事に通っていて、これが縦方向の刺激になっている気がしています。

この「縦方向の刺激」には根拠があります。短身長の子ども(8〜11歳)を対象に、週3回・1回50分のジャンプ運動を24週間続けた対照試験では、介入群の身長が平均+4.2cm伸び、何もしなかった対照群の+2.07cmを大きく上回りました。大腿骨頸部の骨密度の改善が、この伸びを部分的に説明していたそうです。高い衝撃を伴う縦方向の荷重が、骨の形成や成長板を刺激すると考えられています。

もちろんこれは短身長児を対象にした研究なので、そのまま我が家に当てはまるとは限りません。それでも、ジャンプやトランポリンを続ける後押しにはなっています。

余談:トランポリンという習い事

少し脱線します。

我が家でも例にもれず、子どもにたくさんの習い事を経験させてきました。その中で、トランポリンは圧倒的に「良かった」と感じている習い事です。

特に運動能力や神経系の発達、体幹の形成という点で、はっきりとした効果を感じています。長男も次男も、どちらかというと運動が得意なほうではありませんでした。それがトランポリンを継続するうちにかなり体幹が強くなり、野球のような専門的な動作でも、ラダーなどの陸上系のトレーニングでも、安定して良い動きができるようになっています。

私の観察した印象としては、空中で体を操作する感覚を掴んだことが大きいのだと思います。自分の体をどう動かせばどう動くのか、それが直感的にわかるようになり、頭の中のイメージと実際の動作のズレが生まれにくくなった。そんなふうに見えています。

身長のためだけでなく、運動そのものの土台づくりとしても、強くおすすめできる習い事です。

おすすめ

最後に、今回の取り組みの起点になった本と、我が家で使っているものを紹介して終わります。

身長は遺伝で決まる部分も大きいですが、栄養・睡眠・運動という後天的に効く要素も確かにあります。子どもと一緒に楽しみながら、できる範囲でフォローを続けていくつもりです。

参考

本文で触れたエビデンスを貼っておきます。